展覧会の開幕と閉幕、イベントの募集。必要な告知はあるのに、その間のSNS投稿となると手が止まる。兼務の広報では、何を発信するかを決める時間も負担になりがちです。
毎回、新しい企画を立てる前に、館が既に持っている情報を並べてみませんか。ここでは発信材料を四つに分け、次の二投稿を用意するところまで考えます。
公式の運用方針には、告知以外の材料もある
東京藝術大学大学美術館のSNS運用ポリシーは、発信する情報として、展覧会やイベントに加えて利用案内、所蔵品、研究・教育事業などを挙げています。告知だけに用途を限定していないことが、公開資料から読み取れます。[1]
この方針から、実際の投稿配分や担当人数、来館への効果までは分かりません。参考にするのは、発信の対象をあらかじめ言葉にしておく考え方です。以下の「四つの棚」は、自館で材料を整理するための応用案です。
発信材料を4つの棚に分ける
一つ目は「いま行われること」。会期、関連イベント、申込開始など、期限のある情報です。日時だけでなく、誰がどんな時間を過ごせるのかを短く添えます。
二つ目は「来る前に知りたいこと」。入口、予約方法、荷物の扱い、休憩場所などです。例えば「駅からの道順」のページがあれば、迷いやすい曲がり角を一つ紹介し、詳しい案内につなげられます。ここでの例は投稿案であり、同館の実際の投稿ではありません。
三つ目は「作品を見る手がかり」。公開済みの解説から、色、形、材料など一つの観察点を選びます。作品を見た人が自分で確かめられる問いを添え、詳しい説明を読みたい人にはWebページを案内します。
四つ目は「館の仕事」。保存、展示替え、調査、教育普及などの取り組みです。仕事の様子を出す際は、公開できる工程や撮影範囲を担当者と確認します。未発表の研究や作品の安全に関わる情報を、投稿材料にする必要はありません。
四種類を同じ本数で埋める必要はありません。まずは、手元にある材料と、足りない材料を見分けるために使います。
新しく書く前に、一つの情報を使い分ける
例えば、館内の設備案内から「ロッカーに入らない荷物はどうすればよいか」を選んだとします。Webページでは対象となる荷物、利用条件、当日の確認先までまとめます。SNSでは一つの疑問に短く答え、その案内へリンクする形が考えられます。
元となる情報と確認担当を一つにしておけば、内容が変わったときに直す場所を把握しやすくなります。Web記事を増やすこと自体を目的にせず、既存の案内で足りるなら、そのページを使います。
作品の図版は、Webに載せているからSNSでも使えるとは限りません。媒体、期間、クレジット、加工の条件を確認してから選びます。利用案内にも、実際の設備を誤解させる画像は使わないようにします。
まず2週間、2投稿で確認の流れを試す
試し方の一例として、二週間で二投稿を準備します。これは適正な投稿頻度の基準ではなく、作業の流れを小さく試すための区切りです。一つは来館前の疑問、もう一つは作品を見る手がかりにすると、異なる材料の扱いやすさを比べられます。
メモには「読む人の疑問」「元の資料」「投稿で伝える一つのこと」「続きの案内先」「確認する人」を書きます。確認者には投稿文だけでなく、画像、リンク先、公開予定を一緒に渡します。修正が必要なら、元の情報とSNSのどちらを直したかも残します。
反応と制作時間を一緒に振り返る
二投稿を出したら、表示や反応の数だけでなく、原稿づくりと確認にかかった時間を記録します。リンク先への移動が測れる場合も、それを来館者数として扱わないようにします。
利用案内の投稿なら、具体的な条件に関する質問が残ったか。作品の投稿なら、次に取り上げられそうな疑問が見つかったか。投稿ごとの目的に沿って、数字と確認できた声を並べます。反応が少ない理由は、二投稿だけでは決めつけません。
次の一歩は、四つの棚のうち一つを選び、既存のページを一つ開くことです。そのページから、読む人の疑問に答えられる情報を一つ見つけてみましょう。



