展示室で気になった作品を、帰ってからもう少し知りたい。そんな人に、自館のWebサイトでどこを見てもらえばよいでしょうか。解説記事や館報が既にあっても、探し方が分からなければ、その資料までたどり着けないかもしれません。
資料をテーマで束ねるという考え方
Smithsonian Learning Labの2019年版公式ガイドは、画像、文章、動画などの資源と、それらをテーマなどでまとめた「Collections」を説明しています。資源を一つずつ探すだけでなく、まとまりとして学びに使う考え方が示されています。出典1
参照したのは同ガイドの3・5ページです。現在の操作方法や利用条件を案内する記事ではなく、来館後の再訪を増やした事例として紹介するものでもありません。ここからは、資料を選んで束ねる考え方を、自館の来館後の案内に応用する提案です。
一つの関心に三つの資料を選ぶ
出発点は、既に公開している資料です。作品解説、作家紹介、館報の短い記事などから、一つの関心につながるものを三つほど選びます。「今回の展示で気になった風景表現を、もう少し知る」といったテーマなら、対象を絞りやすくなります。これはテーマの例であり、自館の展示と資料に合わせて決めます。
選ぶときには、内容の正確さ、今も公開してよい情報か、リンク先が読めるかを確認します。過去の資料で研究上の説明が変わっている場合は、そのまま勧めず、学芸担当者に扱いを確認します。新しい解説を書く必要があるものは、最初の一ページから外しても構いません。
三つは必須の数ではありません。資料をたくさん並べるより、一つひとつを選んだ理由が説明できる量から始めます。
リンクごとに読む理由と順番を添える
資料名だけの一覧にせず、「この資料で何が分かるか」を一、二文で添えます。たとえば、作品の見どころを知るページ、作家の背景を知るページ、館の調査について読む記事、という順番です。初めての人に向く入口と、詳しく知りたい人向けの資料を区別すると選びやすくなります。
PDFや長い動画を案内する場合は、形式や見る範囲も示します。PDFなら関連するページ、動画なら話題が始まる位置など、確認できる範囲で案内を足します。資料全体を読まないと意味が通らない場合は、短い部分だけで理解できるように見せないことも大切です。
他館の資料へリンクする場合は、発行元を明記し、自館の解説との関係を短く説明します。本文や図版を転載せずに紹介できる構成から考えましょう。リンク先の画像を自館の画像のように使うこともしません。
来館後に思い出せる場所で案内する
小さな資料集ができたら、展覧会ページや出口付近の案内など、鑑賞の続きに触れてもらえる場所を一つ選びます。「展示の続きに読める三つの話」など、開くと何が得られるかを伝えます。
QRコードを載せる場合も、コードだけを置かず、ページの題名と短い案内を添えます。自館のWebサイトからも辿れるようにしておくと、後から探す人への入口になります。メールで案内する場合は、既に適切に登録を受け付けている配信の範囲で扱います。
会期終了後も資料を残すか、どのページから案内するかを先に決めておきます。過去の展覧会情報と現在の開館情報が混ざらないよう、開催時期も分かる形にします。
読まれ方と保守の負担を確かめる
振り返りでは、入口ページの閲覧と各資料への移動を分けて見ます。リンクを押したことは、内容を理解したことや再来館したことと同じではありません。まずは、案内した資料に進んでもらえているかを確認する材料として扱います。
リンク切れや公開終了に備え、見直す担当とタイミングも決めます。新しい記事を毎回増やす前に、今ある解説を読者の関心に沿ってつなぐ。最初の一歩は、会期中の展示に関係する公開済み資料を三つ探してみることです。


